カスハラの放置は企業の責任を問われます

昨年12月に公表された連合の調査結果によると、カスタマー・ハラスメントで一番多いのは「暴言」(55.3%)、次いで「説教など、権威的な態度」(46.7%)だそうです(「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」)。この調査は、18歳~65歳の被雇用者・フリーランスで、直近3年間で自身もしくは同じ職場の人がカスタマー・ハラスメントを受けたことがある人1,000名に質問を行ったものです。

カスハラは増えている

人手不足によるサービスの変化・低下やコロナ禍を背景に、カスタマー・ハラスメントの発生件数が増えています。直近5年間で「発生件数が増えた」との回答が36.9%あったそうです。

カスハラが発生したきっかけとして、勘違いや嫌がらせ、商品・サービスへの不満もありますが、「制度上の不備」との回答が16.3%あったそうです。制度の不備とは、「不備な制度の放置」でもありますので、会社の責任という面が強いと思われます。

カスハラ放置の影響

どのようなきっかけのカスハラでも、それを放置していると会社の安全配慮義務違反を問われることにつながります。会社は、従業員の心身の安全を守る必要がありますが、この調査によると、カスハラ対応マニュアルの作成や研修を行っている会社は半数以下のようです。

カスハラにより、従業員のストレスが高まり心身に不調が発生し業務が行えなくなる、満足な対応が行えない会社の状況を見た他の従業員が辞めてしまう、そうした情報が広まり人材の採用ができない、といった悪循環が生まれます。

カスハラを放置しない、発生した場合のサポートを行うことについて、現場任せにせず、カスハラを容認しない方針を会社として対外的に発表する、社内規則を整備する、マニュアルを整備するといった対策について、会社は十分に検討して実施する必要があります。

【連合「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」】

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20221216.pdf