公正な採用選考実施のための基本的な考え・取組み

日本労働組合総連合会は、採用選考における就職差別の実態を把握するための調査を実施しました(※)。その結果、「採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされた」と回答した人が19.5%(例えば「女性だからどうせ辞める」など)、「本籍地や出生地に関すること」を質問されたと回答した人が28.3%に上るなどの実態がわかりました。

厚生労働省は、事業主に対して求職者の基本的人権を尊重した差別のない公正な採用選考実施に向けての基本的な考え方や取組みについて案内しています。

◆採用選考の基本的な考え方

応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力に基づいて行うことを基本的な考え方として実施することが重要。

公正な採用選考を行うために配慮すべき事項

応募者の適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねたりすることは、就職差別につながるおそれがある。

a.本人に責任のない事項の把握……本籍・出生地に関すること(注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当)、家族に関すること など

b.本来自由であるべき事項の把握……支持政党、人生観、尊敬する人物、購読新聞・愛読書などに関すること

c.採用選考の方法……身元調査などの実施(「現住所の略図」は生活環境などの把握や身元調査につながる可能性がある)、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

『応募用紙』について

新規中卒者は「職業相談票(乙)」、新規高卒者は「全国高等学校統一応募書類)を用いることとされており、厚生労働省のHPに様式が掲載されています。また、新規大卒者やその他の求職者についても様式例が公表されていますが、事業主が独自に応募用紙やエントリーシートの項目・様式を設定する場合は、適性と能力に関係のない事項を含めないよう留意が必要としています。

【日本労働組合総連合会「就職差別に関する調査2023」】

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20230531.pdf?9528