配慮があれば変わらず働き続けられる!糖尿病の労働者への支援について考えてみましょう

支援の基本となる考え方について

現在、糖尿病が強く疑われる人は全国で推定1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない予備軍も含めると2,000万人に上ると考えられています。そのなかには、30代・40代の、いわゆる「働きざかり」の世代の人も多く含まれています。健康診断が行われることも多い春先の時期、高血糖を指摘されたことがきっかけで、労働者が糖尿病と診断されるような場面も出てくるかもしれません。

 糖尿病は、定期的な通院への配慮などがなされれば、おおむね通常と変わりなく就労を継続することができる疾病です。しかし、職場における理解や協力が得られずに治療中断に陥り、重症化や合併症の発症に至る例も少なくありません。事業者が必要な配慮を検討し、対応することが望ましい疾病であるといえます。

具体的な配慮とは?

必要な配慮の類型としては、①糖尿病を悪化させるおそれのある場合の配慮、②事故・災害リスクを予防するための配慮、③健康管理のための配慮、④通院しやすい職場環境をつくることを目的とした配慮などが挙げられます。

 たとえば、糖尿病は、熱中症を誘発しやすい疾病ですから、暑熱作業は避けたほうがよいでしょう。低血糖発作が頻発しているのであれば、高熱作業を禁止することも考えられます。血糖値のコントロールが不良の場合、規則正しい生活と運動が実施できる環境を整えるため、時間外労働の制限を行うことも有効です。

 また、糖尿病は必ずしも生活習慣のみが原因で発症するものではありませんが、「本人の不摂生が原因」との誤った理解から周囲の協力を得られにくく、それが配慮等の実施の妨げとなることもあります。糖尿病に対する正しい知識を啓発し、配慮等を実施するために必要な情報を共有することも大切です。一方で、本人に対しても、主治医の指示に基づいて治療を継続するよう働きかけることが求められます。

糖尿病と診断されても、働き続けられる職場づくりへの取り組みを、今から始めてみることがこれからの時代は重要となるでしょう。